文月 武家屋敷と十日町界隈【武家屋敷〜観音坂〜十日町】

蝉時雨の月岡城下へ
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【左/上山城 中/松本屋 右/三島坂付近から十日町通り方面を望む】

 世の中はちょっとした歴史ブームだとか。歴女や城女の台頭にあやかって…という訳ではないけれど、我々自称「湯散歩女子」のふたり連れは、七月某日、蝉時雨の降る「かみのやま温泉」にやって参りました。東にそびえる蔵王連峰をはじめとする山々に囲まれた上山盆地は、山形県の南東部に位置します。緑深い山々の景観、盆地特有の気候とも相まって、この日はまさに「ザ・日本の夏」。
 「月岡城」という、ロマンチックな名前を持つお城は、「かみのやま温泉」の中心にある「上山城」の別名です。名が示す通りに、この地から眺める名月は格別とか。上山城の歴史を語れば長くなるのだけれど、さしあたっては「江戸時代、上山藩のお城だった」ということを覚えておきましょう。
 それをふまえて「かみのやま温泉」の概要を。古くは羽州三楽郷のひとつに謳われた名湯で、城下の七つの地区から温泉街が構成されています。またこの地は、羽州街道と米沢街道が交差する交通の要でもあり、大名や旅人の宿場としても発達した歴史を持ちます。つまり「かみのやま温泉」は、城下町であり、温泉街であり、宿場町でもあるワケです。これ、実は全国的にも珍しい例なんだそうですよ。そんな「かみのやま温泉」を、ぷらぷらお散歩しながら、私達目線で紹介していきますね。

いにしえの空間にプチワープ。
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【上段左/武家屋敷通り 上段中・右/三輪家 下段左/山田家 下段右/森本家】

 まずは、ここ。上山城の西側に、かつての城下町の風情が忍ばれる「武家屋敷通り」と呼ばれる一角があります。上山藩の要職にあった「森本家、三輪家、山田家、旧曽我部家」の屋敷が四軒並んでいて、現存する建物は約200年前のものと言われます。昨年コンクリート塀から造り替えされたという黒板塀もしっくり馴染み、道路の片側だけがタイムスリップした感じでちょっと素敵。四軒のうち、現在公開されているのは「三輪家」と「旧曽我部家」。他は入口付近の一部のみが見学可能です。実際にご子孫が住んでいらっしゃるお宅もあるので、見学時にはマナー厳守。
 というわけで、早速「三輪家」のお宅訪問です。門をくぐり、見事な庭木の緑に誘われながら玄関に。入館料は大人210円。ガラス戸が入るなど、近年まで人が住んでいたために江戸時代の建築当時そのままとは言いきれませんが、歴史を感じるレトロな情緒はたっぷり。歴代の家主の持ち物なども残されていて興味をひかれます。と、相方が思い出したように『あれ?ここエアコン入っていないよね?』と言い出しました。そう言われてみれば確かに。それなのにとても快適。意外。付き添ってくれていた管理人さんのお話によれば、夏仕様に風の通り道を考えた造りになっているそうです。『日本家屋の知恵ってやつだねぇ。』
 各部屋毎に、色紙に几帳面に書き込まれた手作りの解説書が壁に架けられてれています。初代の管理人さんが作ってくださったものだそうですが、これが実に丁寧でわかりやすい。「ちゃんとこの家を知っている人」でなければ書けないものだと、個人的には思います。
 上山の武家屋敷の特徴は「茅葺屋根、曲屋、中門造り」といわれます。曲屋といえば、馬を飼う農家の造りを連想する人も多いと思いますが、なぜ武家屋敷で曲屋なのでしょう?それを教えてくれるのがこの壁掛けの解説。曰く、上山の武家屋敷の曲屋は、馬を飼うためではなく、敵を迎え撃つ為の造りなのだとか。曲屋なので家の形はL字状。隣同士の家が、向かい合わせてコの字になるよう左右対象に建てられており、二軒が一組となって、攻めて来る敵を迎え撃ったのだそうです。お城同様、戦うための装置でもあったのですね。

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【左・中・右/旧曽我家】

 次に足を運んだのは「旧曽我部家」。武家屋敷通りは北に向かってゆるやかな登坂になっているのですが、現存する四軒のうち、一番北側にあるのが「旧曽我部家」です。ここは無料開放されていて、玄関から屋敷裏の庭園に抜けることができます。「紫苑亭」と名付けられたこの庭園は、四季の草花を楽しめる他、石のテーブルとイスやちょっとした集会スペースも設えられています。屋外のお手洗いもありますよ。
 集会スペースでは、冬期以外の土日に、地元のおばちゃん達がお茶のおもてなしをしてくれるそうなのですが、あいにく私達が訪れたのは平日でした。残念。相方が寄せ書きノートを見つけたのでめくってみたところ、ものすごく楽しそうな写真と感想が。手作りのお漬け物など、その日によっていろんなお茶受けも出されるようです。が、ここ最近の書き込みにはキュウリを絶賛する声、やたら多し。そこまで推されているキュウリの味とはいかに?私も相方も、思わず『キュウリ…』とつぶやくのでした。庭園に目をやれば、涼しげに咲くガクアジサイ。ジリジリとした夏の日差しの中、紫と緑のコントラストが鮮やかです。
 「旧曽我部家」の道を挟んだ向かい側には、「明新館」の案内版も。かつてこの場所に、上山藩の藩校が建っていたことを示しており、文武の研鑽をはかっていた藩政の一端を垣間みることができます。

ガールズ・イン・月岡ホテル。
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【上段左/客室 上段中/お迎えのお呈茶 上段左/ロビー窓から庭園を望む 下段左・中・右/庭園】

 一度上った武家屋敷通りの坂道を引き返し、今度は南に下りましょう。そこから道なりに進み、もう少し下ったところにあるのが「月岡ホテル」。本日の宿です。お部屋に向かう前に、ラウンジで一服。お迎えのお呈茶をいただきます。この日出していただいたのは、暖かいおしぼり、冷やし甘酒と冷たいお茶。お茶受けはおそばのおせんべい。さすが、そば処山形県らしいですね。冷たいお茶は何だろう?と思ったら「上山大名茶」というのだそうです。くま笹、紅花、はと麦、そばの実、その他いろいろブレンドされ、香ばしく飲みやすい。
 ひとごこちついたので、そろそろお部屋に。広々とした窓からは、市街越しに蔵王連峰が。『ほんとはひとつひとつの山に○○岳っていう名前があるんだよね。』『うん。全部言えたらかっこいいよね。』『でもまぁ、今日のところはいいか。』『そうだね。ひっくるめて蔵王のお山ってことで。』
 温泉宿に来たからには、やっぱり浴衣でしょう。旅館浴衣は着たくないという人もいるみたいだけど、私達は断然「着る派」です。お部屋に用意されているのは標準的な中サイズですが、館内の通路には大や小のサイズを揃えた浴衣コーナーもあるのでご心配なく。

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【左/庭園の紫陽花 中/ラウンジより庭園を臨む 右/庭園の木漏れ日】※撮影の為許可をとって庭園に出ています

 浴衣に着替えて「温泉宿に来た感」が盛り上がった私達は、再びロビーフロアへ。言い遅れましたが、「月岡ホテル」は開業370年の歴史を誇る老舗旅館で、自慢のひとつが、中庭の日本庭園の景観なのです。大正時代に15代堺三郎左衛門が心を尽くして造園し、「仙渓園」と名付けられました。上山城の外濠跡の地形が巧みに生かされ、四季折々の美しさが映し出される、と聞けば、期待しないわけにはいきません。
 館内に入ってすぐに圧倒されるのは、パノラマ状に大きくとられたロビーの窓いっぱいに広がる中庭の景観の見事さ。この日は、夏の日差しと木々がおりなす光と影、複雑で多彩な緑の陰影が印象的でした。窓に顔を寄せて覗けば、眼下の池に遊ぶ色とりどりの鯉達。水際の一輪の白百合。そして緑の中に見え隠れするコバルトブルーの紫陽花。
 ロビーとラウンジは中庭を囲むようにひと続きになっていて、窓の景観を眺めながら進むことができます。『あれ?ここからお庭に出られるんじゃない?』と、めざとい相方が呼んでいます。ラウンジの奥に、外に出られるガラス戸があり、履物も並べられている様子。できれば池の近くまで降りてみたかったのですが、庭園の中に入り込むのは禁止されていて、散策が許されるのは出入り口からほんの数メートルの範囲だけみたいです。それでもちょうど良い木陰になっていて、羽根を休めるハグロトンボ達にも出会えました。やや日が落ちて日差しの強さが変わると、鳴いている蝉の声も変わります。この庭園だけで一体何種類の蝉がいるのでしょう? 

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【左/ら・ふらんすの湯 庭園露天風呂 右/ら・ふらんすの湯 庭園大浴場】

 夕食の時間にはまだまだ時間があるから、このへんでひと風呂浴びてきましょうか。そうそう、この宿の大浴場ですが、男女入れ替え制なので、夜と朝で違う大浴場に入れます。以前は「殿の湯」「姫の湯」と言って、男女固定だったのを、どっちも入りたい!という声に応えて、入れ替え制にしたとか。どっちも入りたいという気持ちわかる!たとえ泉質的には同じでも。お風呂の名前も「ら・ふらんすの湯」と「さくらんぼの湯」に変わりました。
 早速「ら・ふらんすの湯」へ。湯あたりはやわらかと表現したらいいかな?無色透明で臭いも無くとろとろさらさら。とっても優しい肌あたり。内湯の浴槽も広々として気持ちいい。『はー、いいお湯。』『これでますます美人になれるね。』『うん。心もね。』のぼせそうになったので露天風呂に。ドアを開けると、外気がサァーッと身を包んでなんとも爽快。庭園の緑とヒグラシの声に包まれながら、夏の日暮れ前の露天風呂を満喫したのでした。
 脱衣所の一角にはウォータサーバーが置いてあり、湯上がりの冷水がまた、こたえられない美味しさ。湯上がりサロンでは、お迎えのお呈茶でいただいた
上山大名茶もサービスされています。それから今回は利用しませんでしたが、同じフロアにある「リラックスルーム・スペースクラフト・イフ」も気になります。リラックスマシンで不思議感覚を体験できるとか。うーん、どんな感じなんだろう?

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【上段左/手打ちそば 上段中/季節のこだわりバイキング 上段右/米沢牛の牛丼 下段左/手打ちそば実演 下段中・右/季節のこだわりバイキング】

 おまちかねの夕食の時間。「季節のこだわりバイキング」は、山形の食材を使った夏のお献立。種類も豊富で、「美味しいものを少しずつたくさん食べたい」という私達の願望にぴったり。例えば「庄内豚のローストと山形地鶏ムネ肉のロースト自家農園野菜のソテー添え」とか「白身魚のクネル村山の紅花サフランのソースで」とか「山形ハーブ鶏の自家製棒々鶏」とか。あるいは山形郷土料理の「冷汁」「玉こんにゃく」「芋煮」「鯉の甘露煮」などなど。特にお気に入りだったのが「月岡農園茄子を使った山形のだし」。「だし」というのは夏野菜を刻んだ山形の郷土料理。野菜が美味しいからますます美味しい。
 そば処の山形らしい手打ちそばの実演や、山形牛の牛丼コーナーも。打ちたてのおそばに冷たいタレ、暖かいタレをお好みで。山形牛の牛丼には温泉卵という贅沢な組み合わせ。もちろんお味はどちらも最高。
 デザートにもぬかりはありません。チョコフォンデュにソフトクリーム、選べるプチケーキ。自分で作る綿菓子で縁日気分も。お酒は別料金ですが、最近注目されている山形ワインもメニューに組まれていてます。
 全種類制覇!を目論んでいた私達ですが、さすがムリでした…。『もうおなかいっぱい。』」なんだか悔しい。でも、満足。』などど言いつつ、お腹が落ち着いた頃にまたお風呂に行き、真夏の夜の庭園露天風呂に身を委ね、お風呂上がりはお部屋で乾杯。そんなこんなで夜は更けてゆくのでした。

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【左/露天風呂湯口 中/朝食バイキング 右/天然かき氷×モナンミルク】

 翌朝は早起きして朝風呂の予定でしたが、ちょっぴりお寝坊。それでも朝食にはギリギリ間に合いそう。というわけでダッシュで「さくらんぼの湯」へ。こちらの内湯は浴槽が二つに分かれています。『それでさくらんぼなのかぁ。』と、相方は合点がいった様子。露天風呂はこじんまりしたつくりですが、妙に落ち着きます。すでに日差しは眩しさを増し、蝉達の競演もはじまっています。
 朝食も昨夜と同じ会場でバイキング。和洋のメニューでパン派にもごはん派にも。今朝はごはん気分の私達は、和食メニューを中心にセレクトしました。ごはんは山形のブランド米「はえぬき」。胃にやさしげな「紅花薬膳粥」も選べます。炭火で熟成させたという「上山納豆」は刻みたくあん入り。上山のたくあんは沢庵和尚直伝という説もあるそうですよ。珍しいところでは「さくらんぼの漬け物」。甘酸っぱくてしょっぱくてさくらんぼの風味もする不思議な味。飲物コーナーには「やまのべ牛乳」と、ポリフェノールたっぷりな紫色の「野菜ジュース」。ぶどうとブルーベリーが味のベースになっているようです。
 身支度を整えてそろそろチェックアウトの準備となりました。でもお宿を出る前に、あれだけはでどうしても食べておかなければ。チェックインの時から気になっていた「天然かき氷×モナンミルク」です。ボリュームがありそうなので、いちごミルクをひとつ注文して相方と分け合うことに。ふわふわかき氷の下にソフトクリーム。フルーツのトッピングととろりとしたフルーツシロップ&コンデンスミルク。ふわっふわのかき氷は山形の天然水を使っているとのこと。ところでモナンミルクって何?ラウンジのお姉様にお伺いしたところ、フランスのモナン社製のフルーツシロップのことらしいです。そうか。おフランスか。どうりでお洒落。でもホントに美味しかったです。満足した私達は、二日目のぷらぷら散歩に出発です。

観音坂を下るストーリー。

 宿の駐車場からほんの数分。お城の南側にある無料駐車場に車を移動し、今日はここからスタートです。月見坂を経て、月岡公園の東側を通る細い散歩道を北方面に向かいます。公園の木々がちょうどよい日よけになって気持ちよく歩くことができます。街より一段高いところにつくられているので、なかなかの眺め。右手には蔵王連峰もくっきり。散歩道の途中、山の名前を教えてくれる看板が。『見て見て。これでばっちり覚えられるよ。』と相方。この道は生活道路にもなっているらしく、時折、地元の方とすれ違ったり、自転車の小学生に追い抜かれたり。公園に続く階段をお掃除する人の姿も。『いいね。』『うん、いいね。いい街だね。』

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【上段左/月岡公園外周の散歩道 上段中/月岡公園に上る階段 上段右/観音坂 下段左/湯の上観音の敷石 上段中/湯の上観音御朱印 下段右/洗心の湯】

 しばらく歩くと、少し向こうの高台にお堂が見えてきました。あれが今日の目的地のひとつ「湯の上観音」のはず。このまま道のつきあたりまで歩き、T字路を右に折れ、つきあたったところが観音坂。また右に折れて下って行きます。この坂の途中に「湯の上観音」に続く登り口がありました。
 最上三十三観音の札所でもある「湯の上観音」。御朱印をいただきながら、ゆかりのお話を伺いました。冒頭にも書いた通り、ここは城下町、温泉街、宿場町として栄えました。光あれば影ありの言葉通り、飯盛り女と呼ばれる遊女達の存在もありました。その遊女達が敷石を奉納したという話が現在まで伝えられています。特筆されるべきは、この敷石が平坦な石を並べたものではなく、中央がアーチ状になっている太鼓形になっているということ。もちろん、平坦な石よりも手間やお金がかかるものです。彼女達が観音様に奉納した心情とは、いかなるものであったでしょうか。同じ女性として思うに余りあります。静かに手を合わせました。
 帰りは、昇ってきた道とは反対側にある階段を下りていきます。ホントはこちらが表参道なのでしょうけれど。階段の途中に「洗心の湯」という温泉の手水舎がありました。よく見ると「上山七不思議の一つ 出羽の手洗い鉢」とあります。上山七不思議ってなんだろう?あとで調べればわかるかな?と思ったのですが、いまだに謎のままです。

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【左/下大湯 中/冷シャンプー 右/鏡石】

 階段を下りきるとすぐに「下大湯」が。「かみのやま温泉」には全部で七つの共同浴場があります。「下大湯」はその中でも一番の歴史があり、温泉街のシンボル的存在になっています。平日の日中にもかかわらず、賑わっています。入湯料は、洗髪料別で大人150円。とても風情があり、ぜひ入ってみたかったのですが、今回はひとまずパス。
 下大湯のお隣には小さな理容室があります。少し奥まっているのでうっかりすると見逃してしまいそうですが、「冷シャンプー」の文字が目に止まります。もしかして夏の山形の風物詩といわれる、あの冷やしシャンプー?女性は860円。これは試してみるしかない、と、「カットインハウスいとう」の扉をくぐったのでした。『冷シャンプーって、テレビで話題になったあの冷やしシャンプーですか?』と伺ってみたところ、『たぶん、名前の発祥はウチだけど、テレビでやっていたのはシャンプーを冷やすという方法だよね。でもウチは違うんだ。シャンプーは冷やさない。でも頭は冷える。炭酸を使うんだよ。』との答え。どういうことだろう?
 洗ってもらった実感としては、なぜかはわからないけど、途中からはっきりと頭が冷たくなる感触が。一部始終を目撃してい相方に聞いてみると、途中、容器に入った(たぶん)炭酸を注入していたとのこと。理屈はさておき、気持ちが良かったことだけは確かです。
 「下大湯」の斜向いには、「鏡石」が「上山領境界石」とともに大切に保存されています。一見すると大きくて平らな石という印象ですが、なかなかの歴史を持つ石です。昔、この地が沼地になってしまった時代に発見され、月光を浴びた姿が鏡のように美しかったので「鏡石」と名付けられたとのこと。その後、石橋になったり、土の中に埋まったり、掘り出されたりと様々な変遷を経てここにあるんだとか。

湯の町城下のメインロードをぶらり。横道をそろり。

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【左・中・右/十日町通り】

 観音坂を真っ直ぐ行くと、この街のメインロード「十日町通り」に出ます。かつて羽州街道がこの街を通っていた頃の名残をその名にとどめています。メイン通りとして様々なお店が軒を並べる他、大正や昭和初期のものと思われるレトロな建物も点在していて、散歩のしがいがありそう。相方のアンテナにひっかかったのが「十五夜本店」の「猫の手マドレーヌ」。うう、かわいい。お店に入ってみると、奥にはお洒落なカフェが。お散歩の休憩場所としてもいい感じ。でも今回はお持ち帰りでお買い上げです。もうちょっとこの通りをぶらぶらしてみましょうか。
 お昼も回りました。『なんかお腹すいてきたね。』『お昼どうしよう?』『あのね、車で通った道の途中で気になるお店を見つけたんだけど。』という相方に引っ張られるように駐車場へ。と、思いきや、車には戻らずに月待坂を武家屋敷通りの方面へ。3号源泉のすぐ隣に「彩食料理 折鶴」というお店がありました。中に入ると、喫茶店の様な造り。おばちゃん二人が切り盛り。ところがこのおばちゃんとお料理がびっくりするほどすばらしかった!
 野菜ソムリエのおばちゃんが吟味して選んだ食材と、食材を最大限に生かしたこだわりメニュー。既製品は一切使わず全て手作り。調味料にも妥協なし。この日のオーダーは、私が「お母さんのお勧め定食」、相方が「お母さんの気まぐれランチ」。この日の定食のメインは鶏肉のアドボ。相方は気まぐれリゾット。
 もうね。ご飯が美味しい、野菜がおいしい、お肉が柔らかい、味付けが抜群に美味しい、全てが私達のドストライクに入ってきます。
 山形も米処なので、お米は全般的に美味しいのですが、このお店で使っているのは「さわの花」。優れた食味の山形の在来品種ですが、栽培が難しくほとんど市場に出回らない幻のお米と言われます。そこにこだわりの雑穀類をブレンド。ご飯ひとつとってもこれだけのこだわり。美味しい野菜はあえて凝った味付けをしないというのもこだわりのひとつ。他も推して知るべし。これは絶対リピーターになりたい!
 ところが残念なことに、今年いっぱいでお店を閉めてしまうそうです。でも、お料理に関わることをやめるわけではないそうなので、まだどこかで開店してくださるといいな。

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【左/お母さんのお勧め定食 中・右/鶴の休み石と湯町の足湯】

 お腹も心も満たされたので、もうひと歩きしましょうか。いったん武家屋敷通りに出て、再び坂道を上ります。寄り道しないでさらに北上。右に折れて「鶴の休み石」へ。「かみのやま温泉」を歩いてみると、先ほどの「折鶴」をはじめ、「鶴」にちなんだものをちょくちょく目にします。これは「かみのやま温泉」の発見が「鶴」のおかげだから。「かみのやま温泉」の開湯伝説によれば、室町時代の長禄2年(1458年)、諸国行脚をしていた肥前の国の僧・月秀上人が、温泉で傷を癒している鶴を見かけました。これが「かみのやま温泉」の始まりで、その鶴は脛を湯に浸していたことから、別名「鶴脛の湯」とも呼ばれています。そしてその鶴が羽根を休めた場所がこの「鶴の休み石」だと伝えられているとか。「鶴の休み石」の前には足湯が。足湯は市内の全部で五ヶ所。ここは「湯町の足湯」とも呼ばれています。炎天下に足湯というのはどうなの?という気もしないではないですが、入ればやっぱり気持ちいい。
 足湯で一息ついたところで、今回の湯散歩はここまで。楽しかった〜。美味しかった〜。暑かった〜。気持ちよかった〜。「鶴の休み石」に来た道を、進行方向を変えないでまっすぐ行くと、また観音坂につきあたるので、とりいそぎ二日で一周した形にはなるのだけれど、まだまだ見所がたくさんあるので全然もの足りません。『また来ようね。』『もちろん!『というわけで、次回のかみのやま湯散歩もお楽しみに!

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